『父と娘の風景』
まずはこちらの映像をご覧ください。
こちらは、相鉄・東急直通線開業記念ムービー『父と娘の風景』の120秒特別CMで、誰もが共感できる12年間の親子の関係の変化を、相鉄線車内を舞台に描いたCMです。
私は以前このCMを偶然テレビで見かけたのですが、本当に本当に泣きそうになってしまいました。本当に......!!
という事で今回は、こちらのCM『父と娘の風景』について分析してみたいと思います。
1.撮影方法
『父と娘の風景』では、
- ムービーの撮影にはほとんどCGなどが使用されておらず、「25人のオダギリジョー」と「25人の山崎天」、総勢50人が父娘キャストを同時に演じる
- 電車の横に波打つ揺れ、車窓から漏れ出る光など全て人力
といったまさに秒単位のアナログな方法で、時の流れをワンカットで、一気に撮影するという手法が取られています。
装置図解(参考:『父と娘の風景 Behind The Scenes』)
こうしたワンカット撮影はポカリスエットのCMやミュージックビデオなどいろいろな作品で使用されていますが、こんなにも大変な撮影方法なのに、なぜCGや技術が発達した現在でも使われ続けるのでしょうか。
CGの方がはるかに楽でコストも抑えられますよね。
ワンカット撮影のメリットとはなんなのか、気になったので調べてみました。
メリット
1.次々にシーンが変わるため、視聴者を釘づけにできる
『映像に切れ目がないため、視聴者も目を離す隙がありません。そのため、途中で飛ばされることなく、最後まで動画を見てもらいやすいというメリットがあります。』
2.撮影が難しい分、映像が評価され、話題になりやすい
『ワンカット(長回し)での撮影の大変さは、一般の人でも映像を見ればすぐに分かります。そのため、良くできたワンカット(長回し)動画の魅力は視聴者に伝わりやすく、ネット上でも大きな評判を呼びます。』
3.ワンカットでしか表現できない世界観、緊張感がある
『途中でミスができない分、出演者・撮影側には普段とは違う緊張感が漂います。あらかじめ用意したセットが次々入れ替わるようすなど、ワンカット(長回し)動画にしかない独特の世界観も魅力です。』
(アドアーチ「目が離せなくなる表現技法 ワンカット(長回し)動画事例」より)
確かに、ワンカット撮影の作品には独特の緊張感があります。なぜか目が離せないのも納得です。
CMなどの「メッセージを伝える」ことが目的の作品の場合は、特に有効な手法と言えます。
2.キャッチコピー(セリフ)
ムービー内では父と娘の会話として
「東京、遠いな」
「あっというまだよ」
という二つの台詞しか用いていないにも関わらず、とても印象に残るフレーズになっていました。
この会話は、今回のCMのテーマである
「相鉄・東急直通線が開通することで都心が近くなる」
というメッセージを十分に伝えるキャッチコピーであると言えると思います。
3.ビジュアルポスター
主に灰色を基調としていて、娘の持っている赤色のバッグが差し色として映えているビジュアルになっています。
灰色を基調とすることで電車の無機質感が表現されつつも、画面下部にぼかしが入っていることでこのCMの暖かさが表現されていると思いました。
まとめ
テレビで偶然見かけたCMでしたが、それでも心を動かされるほど感動するCMでした。
ワンカット撮影は準備の時間や緻密なタイミング計算などの難しい問題を突破して撮影しなければならないことは想像できましたが、その分の魅力に今回改めて気付かされました。
個人的な話になるのですが、私も現在他県から東京の学校に通っていて、いつも帰ってくると母が「今日も東京から無事に帰ってきたね!」とおかえりを言ってくれるので、自分と重なって何回見ても涙が出そうです。
公式ホームページではメイキングも公開されているのでぜひ見てみてください。
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