日本で最初のグラフィックデザイナー

先日、授業でとあるグラフィックデザイナーについて学びました。


「杉浦非水」さんです。


・杉浦非水 すぎうらひすい(1876〜1965)

近代日本のグラフィックデザイナー。本名、杉浦朝武(すぎうら つとむ)。

日本のグラフィックデザインの黎明期より活動し、商業美術の先駆けであり現代日本のグラフィックデザインの礎を築いた人物の一人として重要である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


杉浦非水は愛媛県松山市に生まれ、東京美術大学(現:東京藝術大学)日本画専科在学中に洋画家の黒田清輝による洋画や横風図案の指導を受け、図案化へと転進します。

大学を卒業した後、印刷所や新聞社、教論を経験しながら雑誌の表紙などでモダンな欧風の図案を発表し、自身のスタイルを確立していきました。

1908年、三越の嘱託デザイナーとなると『みつこしタイムス』の表紙や三越呉服店の図案主任など、当時流行の最先端であった三越を舞台に、退社するまでの約27年間、そのモダンでハイカラな画風で活躍しました。


また、三越以外にもあの有名な飲料メーカー『カルピス』のポスターや1927年に上野〜浅草に開通した地下鉄のポスターなど、多くの日本人に届く商品やサービスの宣伝に携わりました。



今回は、杉浦非水が生涯にわたって発表した代表作について分析していこうと思います。


〈代表作〉

①「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」(1927)

先ほど紹介した、上野〜浅草間に地下鉄が開業した時のポスターです。

色鮮やかな服装に身を包んだ老若男女が地下鉄のホームでワクワクしながら電車を待っている様子が伝わってきます。

このポスターを手がける前、非水は46歳にして初めてヨーロッパへ留学しており、刺激を受けたその後の作風はとてもダイナミックかつスタイリッシュなものになっているように感じます。

柔らかな薄い黄色で表現された地下鉄ホームに真紅や浅葱、非水の作品によく用いられている紺色などがよく映えており、一点透視図法を使った構図と相まって「東洋唯一の地下鉄」への人々の希望と喜びがうかがえました。




②「三越呉服店 春の新柄陳列会」

次に、非水が現役時代活躍した場である「三越呉服店」での作品を見てみましょう。


繊細なタッチで着物を着た女性がソファに座った様子が描かれています。

「春の新柄」ということもあり着物も春らしい柔らかな橙色で表現され、背景にもチューリップが描かれています。

背景の濃紺と対比して女性がより印象的になっていると思いました。


他にも、三越での仕事として女性をたくさん描いている印象がありました。


「『三越』 第16巻第1号」

「三越呉服店 新館落成」

「『三越』 第16巻第1号」

 三越での作品は本当に数が多いのでぜひ調べてみてください!!色々な構図や一風変わった作品もあって面白いです!




③「杉浦非水図案集」版画 猫

最後に、私が特に「なにこれ!」となった作品を見てみましょう。

非水は何点かの作品で猫を描いているのですが、版画で制作されたこちらの作品はある程度のデフォルメとポップな色使いが特徴的で、シンプルながらも思わず目に入ってきます。

特に左下の猫の口元に押し付けられたような手がとってもカワイイです。部屋に飾りたい...。




今回は日本で最初のグラフィックデザイナー、杉浦非水さんについて見てみました。

私たちが一般に「モダン」「ハイカラ」という言葉でイメージするデザインは、杉浦非水さんが始まりと言って良いのではないでしょうか。

また、杉浦非水さんの作品の数々。日本画専科という背景にヨーロッパの革新的なデザインを積極的に取り入れた唯一無二のスタイルは、現在になっても魅力を放ち続けているようでした。


ちなみに一昨年から今年の6月にかけて、「杉浦非水展 時代をひらくデザイン」という展覧会が開催されていたようです。

行きたかった...😭

またご縁があればぜひ生で作品を見てみたいですね!






またまたちなみに、非水さんの誕生日は5月15日だったようです。おめでとう🎉


画像出典:パブリックドメインR:古写真・イラスト・絵画美術館

     国立国会図書館「NDLイメージバンク」


三か月文庫

三ヶ月間書くので三か月文庫です。

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