行動デザイン

みなさんは、「行動デザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。


まず、「行動デザイン」とは

・モノ主体ではなく相手の行動を主体にサービスを設計することで、人々の行動の促進および阻害原因の改善を行っていく手法のこと(参考:ANKR DESIGN

・人々の選択肢を奪うことなく、環境を整えることで、本人や社会にとって望ましい行動をするようにそっと後押しする手法のこと(参考:横浜市行動デザインチーム


など場所によってさまざまなニュアンスで説明されますが、


つまり、商品やサービスを制作する際にそれを実際に使用する相手の立場になって、相手の行動を元によりよい商品やサービスを作っていく、という消費者の行動を促すためのデザイン方法のことになります。



「行動デザイン」という言葉は元々、博報堂行動デザイン研究所が2013年に考案・商標登録した造語であるとされていて、博報堂行動デザイン研究所の公式サイトでは、

『生活者に行動を起こしてもらえるよう、 広告は一定の役割を果たしてきたはずなのに、情報が氾濫する今、 単に広告をつくってメディアに載せるだけでは人に届かず、モノに溢れる今、届いたとしても買ってもらえないことも増えてきました。』

『 人は何のために行動するのか、どうすれば行動するのか...』


と、商品を購入する消費者の行動を変えるための「行動デザイン」として研究されています。



また、この「行動デザイン」という言葉が広がった背景には「ナッジ」という概念があり、こちらは人間の心の動きを利用して自然に、気づかれないように行動を後押しするというニュアンスがこめられており、

「行動デザイン(ナッジ)」として捉えられることもあるようです。




では、日常の中の「行動デザイン」には何があるのか考えてみましょう。


コンビニやスーパーマーケットの陳列棚で考えてみると、

まず、人気の商品や新商品は中央の列に広い面積をとって陳列されていることが多く、大多数の客はそこに目が行きやすいためスムーズに商品を見つけて購入することができます。

逆に、陳列棚の一番上や一番下は商品を取るのに労力も必要なため、あまり進んで手に取ろうという気にはならないですね。

また、それを応用すると背の低い子供たちはその分目線も大人より低いため、駄菓子やチョコレートなど、子供に人気のあるお菓子は下に陳列されていることが多いように感じます。


このように、ただ商品を乱雑に並べただけの陳列棚よりも、客の年齢層商品の人気度などを考慮して並べていくことで、客の買い物をスムーズにさせ、購買意欲を高めることが期待できる立派な「行動デザイン」です。



また、海外のポイ捨て問題に対してゴミ箱の形を変えることで解決した一例も「行動デザイン」の一例に挙げられます。

これは一時期ニュース等メディアでも取り上げられていたため知っている方も多いのではないでしょうか。


タバコの吸い殻入れを投票形式にして、自然と吸い殻を入れてしまうようにすることは、吸い殻入れを「デザイン」して「相手の行動を促す」良い一例になっていると思います。





今回挙げた例の他にも、気づかないだけで探してみるとたくさんの「行動デザイン」が生活の中には利用されています。


なぜこの陳列なのか?このデザインの意味は?...など、考えていくと面白いかもしれません。

三か月文庫

三ヶ月間書くので三か月文庫です。

0コメント

  • 1000 / 1000