人生で初めてエッセイ集を買いました
ゴールデンウィークに〇〇に行ってきました!という記事を書きたいところですが、課題に埋もれていたのでどこにも行けませんでした。
行った所といえば近所の本屋とスーパーくらいなので、今回は購入した本についての記事にしたいと思います。
購入したのは又吉直樹さんの「月と散文」。
単行本ってまあまあお値段するのですが、読みたかったのはもちろんのこと、今回の記事のネタを言い訳に貯金をはたいて購入してきました。
本買うのって勢いが大事なんですよね。財布は軽くなりますが。
まずは表紙を見ていきましょう。
...とその前に、今回は本全体のデザインについて見ていきたいので、最初に本それぞれの部位の名称だけ確認したいと思います。
なぜかと言いますと、又吉さんは本好きであると同時に装丁好きでもあるそうで、今回の「月と散文」もかなりのこだわりで制作に携わったそうです。
なので今回は、名称と合わせて、本の細部も見ていこうと思います。
まとめてみました!
赤の丸がついている箇所は、これから見ていくところになります。
こんなに名称がそれぞれ決まっているんですね!
それでは早速見ていきましょう。
1.カバー(表紙)
冷たい夜空を思わせる濃紺の背景に、少年のなんとも言えない曖昧な表情が、神秘的な表紙となっています。
本作は2020年から現在にかけて、コロナ禍の最中に執筆されたものがほとんどだそうで、表紙からも悲しさやぼんやりとした不安のようなナイーブな感情が感じられます。
そして、少年の瞳に映るこの白い小さな丸。瞳のハイライトのようにも見えますが、満月の浮かぶ夜空が瞳に映っているようにも見えました。
おそらくこの少年が見ているのは満月なのだと考えられますが、直接的に描写せず、読者たちがさまざまな角度から考察できる表紙になっている部分もあるのかなと感じます。
また、金色のように見える黄土色も濃紺の補色となっていて、よりシックで上品な仕上がりになっていると思います。
2.見返し
表紙を開いてみると、見返しに淡いグレーが配色されています。
月に淡いグレーと言えば、月を隠す雲を想像しますが、今作がコロナ禍に執筆されたものだと考えると、胸の内に秘めていた不安や寂しさを表してもいるのではないかと感じます。
逆に、紙質のまだら感が温かい印象も与えてくれているようにも思えました。
3.花布(はなぎれ)
初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。なんとも風流な名前です。
花布は、背表紙の天地にちらっと見える布のことで、本来は本を丈夫にする役割を持っていたそうですが、現在は装飾用としてのテープ状の布のことを指すようです。
花布の多くは白、緑、赤、青など一色ですが、稀に二色の縞模様などになっていることもあり、装丁全体の色と考慮してレアな色もあるようです。
今回の「月と散文」はなんと金色。(分かりづらいですが)
”月”の輝きをイメージして金色になっているように感じますが、全体的に落ち着いた装丁の良いアクセントとなっています。
今回は又吉直樹さんの「月と散文」を題材に、装丁を部分的に見ていきました。
前回は文庫本の表紙のみを分析しましたが、文庫本と違いハードカバー本は作品の内容に合わせて多くの部分で「その本らしさ」を出していくため、一冊の本に作家さんやデザイナーさんの想いをたくさん感じることができました。
なぜ見返しがこの色なのか、この装丁なのか。物語とともにデザインに想いを馳せるのも、読書をさらに楽しくさせてくれると思います。
特に、今回初めて知った花布(はなぎれ)などは今まで一回も気にしたことがなかったので、これからハードカバーを読む時は何色なのかチェックしてみたいですね!
ちなみに、本作は特装版も数量限定で発売されており、又吉さんの装丁好きがこれでもかと発揮された一冊です。
小口アンカットは私も最近そのカッコよさに気づいたので、どこかで記事にしたいと思います。
みなさんも、ハードカバーで読む際は見返しの色や花布に注目してみてください。読書がまた一段、楽しくなると思います!
0コメント