揃えたくなるブックデザイン
前回の記事で『海底二万里』をオススメしましたが、
オススメするには理由がある!!
という事で、今回は新潮文庫から出版されている、『海底二万里』の表紙について考えてみようと思います。
こちらが新潮文庫から出版されている『海底二万里』。
上下巻に分かれています。
『海底二万里』は児童文学として有名な印象が強いですが、児童向けに翻訳・出版されているものの多くは、この作品の特色である博物学的な生物の解説や物語の細かな内容が省略されていることが多く、新潮文庫の原作に近い翻訳になると、約1000ページにものぼります。(これはこれでとても面白いのでぜひ!)
さて、表紙の話に戻りますと、実はこの表紙、とある仕掛けが施されています。
上巻を左、下巻を右に並べてみると...
がちゃん
世界地図の中心に、作中に登場するネモ船長の「ノーチラス号」が。
作品に合ったとてもロマン溢れる仕掛けですね!
『海底二万里』は他にも様々な出版社から出ているのですが、私が新潮文庫を購入した理由、そしてオススメする理由の一つが、この仕掛け。
そう、ついつい揃えたくなるこの「装丁」です。
みなさんは「ジャケ買い」したことはありますか?
本に限らず、CD、お菓子、文房具、化粧品...。本では、その「ジャケ」が「装丁」に当たるのではないでしょうか。
この新潮文庫の『海底二万里』の装丁を分析してみると、
・この作品の舞台となる、海の青々とした様子や未知なる深海の神秘さをターコイズブルーで表現
→全体がターコイズブルーでまとまっており印象も強いため、表紙として見かけた時に記憶に残りやすい
・本作品のあらすじである、「ノーチラス号で世界を旅する」という内容を的確に伝えられるイラスト
・読んでいて冒険心、好奇心を掻き立てる本作品とマッチするような上下巻の連結仕掛け
→連結仕掛けによって、本文で語られているノーチラス号のスケールの大きさを表現
と、まだ内容を知らない人へ「情報(あらすじ)を伝えるデザイン」としての役割も果たし、なおかつ読んでいる読者や読み終わった読者も楽しめるような、まさに手元に置いて飾っておきたい「ジャケ」の役割も果たしていると言えます。
調べてみると、ジャンプ作品やその他漫画などは、こういった仕掛けが施されていることが多いようです。背表紙を順番に並べたら長〜いイラストになっているやつ!確かによく見かけますね。
漫画は小説よりも比較的長く続くので、多い巻数を買い続けてもらうためにも働きかける効果があるのかもしれません。
このように、本の「装丁」は読者に本の内容を視覚的に伝えることはもちろんのこと、図書館で借りたり、近年電子書籍の需要が高まっている中でも「買いたい!」「家に置いておきたい!」と思わせるような、感覚的な工夫も重要だということが分かりました。
みなさんもぜひ新潮文庫の『海底二万里』を読んで、表紙を並べて飾ってみてください。めちゃくちゃテンション上がりますよ!
ちなみに厳密には、
「装丁」=表紙やカバーなどの本の外側の要素や作業
同じように使われる用語として
「ブックデザイン」=本の中身の書体や紙質などを含めた本全体のデザイン
をそれぞれ指すそうですが、最近は本の中身全てを「装丁」として扱うこともあるようです。(Wikipedia参照)
調べれば調べるほどブックデザインが複雑に思えてきますが、これから色々と調べて勉強してみたいと思います。奥が深い!
PS.〆切あと数時間のこのブログ課題が残ってたのに古本イベントに行ってきました。
ヴェルヌの『二年間の休暇』(上)(下)を550円でゲットできました。やったー!
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